3段昇って2段降りる

アウトプットのための1つとして・・・・・・一生続くかもしれないし、明日終わるかもしれない

岩瀬先生の学級経営講座を受講しました。

埼玉からの夜行バスの中、少しずつ今日の学びをまとめなおしてます。どうも、階段です。

 

今日、多分あげる時には過去ですが、岩瀬直樹先生(ゴリさん)の学級経営講座を受講してきました。

自分の思考のまとめのためにアウトプットしていきたいと思います。

 

岩瀬直樹という人物像

 

第一印象、そして終始受けた印象は「全承認」という感じでした。ニッコリ笑顔で語りかける、落ち着いた口調(時にユーモラスでしたが笑)、心地の良い掛け合い、凄く学びやすい雰囲気で終始進んでいました。

 

本などで語られていますが、昔は落ち着きの無い子だったらしいです。全然そんなふうに見えません。(ただ親近感は受けました笑)

 

最初の方にネタバラシしておくと、ゴリさんはこの1日を通して、学級が育っていくことを僕たちに経験して欲しかったそうです。なのでまとめもそんな感じで書いていきたいと思います。

 

ともあれ、まずは知識や情報から

 

なぜゴリさんは学習者中心授業の必要性を考えているのか、そして風越を作ろうとしているのか。その背景にある知識や情報を教えていただきました。

 

一斉授業を受けて半年に覚えている割合

 

あらすじを言える人が2%

キーワードを言える人が29%

 

ちなみにこの後、何度かゴリさんから口頭で言われたことが質問されるんですけどみんな「えーっと……」って感じになってました。笑 やはり一斉授業には限界があるのかもしれませんね。(決して一斉授業を否定しているわけではなく)

 

学級経営で学ぶことは多岐にわたる

 

みなさんは学級経営に必要なことはなんだと思いますか?

ルール、人間関係、規律、子ども理解、ユーモア、自治能力、教室環境、チームワーク、信頼関係、居心地、協力……

などなど、必要なことって沢山あって

 

教師の専門性の3要素

 

スキル・知識、理論・マインド(価値観)の3つが教師に必要な専門性だとおっしゃっていました。

 

「どれだけ知識があっても、バットの振り方を知らない人は試合に出れない」とおっしゃっていました。こういう例えスッと出てくるのも素敵だなぁ……

 

その3つの中心にはビジョンがあり、自分が目指す納得解であるらしいです。

 

25年後を生きる子どもたちへ

 

今、僕たちが受け持っている子どもたちは25年後に社会の中心になります。そのためには何を経験させればいいのだろうか?

という問いを投げかけられました。

 

当然答えることはできません。ひとつの考える根拠として25年前の日本を見せていただきました。

 

阪神淡路大震災イチローの活躍でオリックス優勝、ポケベル全盛期、デジカメが発売される、などなど今では当たり前のことや考えられないことばかりでした。(オリックスの優勝はとくに……)

 

25年したらスマホなんて過去の遺産のように扱われるかもしれない、そんな世界に生きていくんだなぁ、と感じました。

 

その中でゴリさんは「自分(たち)で学びつづける力をつけることが大事」だとおっしゃっていました。

 

この講座で終始仰っていたのは

 

「これが答えじゃないよ」

 

ということです。

 

今回の講座はゴリさんを追いかけて来た人たちが集まっています。そこで安易に答えを言うことに非常に気を付けている印象を受けました。この丁寧さも素敵だと感じました。

 

そのためには

 

学級には限界が来るんじゃないか、ということです。ゴリさんが作ろうとしている風越学園なんかはマルチエイジ(異年齢学級)です。ただ、同じ年齢の人を集めて同じことをさせるのには、もう今の社会では必要ではないのかもしれませんね。

 

学級の変遷

 

そもそも学級っていつから始まったのか?

海外では産業革命期、日本では明治のあたりです。このどちらも「国力を高めるために優秀な労働者が欲しい」という背景があります。つまり優秀な労働者を作るために、学級による一斉授業はとても効率が良かったのです。日本もその例に漏れず、欧米列強と渡り合う力をつけていきますね。

 

明治ということは1800年後半です。今から150年前くらい。その学習の方法が今も残っているというのは確かに違和感がありますね。もちろんこれが全てダメ!学習者中心最強!ってわけではありません。ただ、さっきも述べたとおり、学級であったり、一斉授業であったりは過渡期を迎えているんですね。

 

ゴリさんはここから社会は加速度的に変化していく。求められるのは21世紀型学級経営だ、とおっしゃっていました。

 

これにも、一応ゴリさんなりの答えはいただきました。それは

 

「学級は民主的なコミュニティにしていくべき。選択する力をつけていくべき、当事者意識をつけていくべき」

 

この辺りが教室リフォームなどの実践につながっているんだろうなぁ……

ぼくも強く共感しました。

 

エージェンシー

 

エージェンシーとは生活経験や社会参加から、物事をより良くする影響を与える力です。

 

 

 

ここまでがゴリさんが学芸大学の教授として持っていた授業をギュッとした内容です。この辺りを共通理解していくとがこの後の講座にいい影響を与えたと思います。教室でも質の高い共通言語が多いと良いように……

 

まずはコミュニケーションの量

 

ここからはゴリさんの学級経営を講座を通して体験していきました。まずはコミュニケーションの量を圧倒的に増やす。この圧倒的ってひとつのキーワードだと思います。

 

行ったアクティビティ

ドブル

シャベリカ

ゆびずもう

あっちむいてホイ

メイクスリー

ビート

7ー11ジャンケン

 

人ってほっといたら、どうしても同じ集団で固まってしまう。おそらくみなさんもクラスでグループってあるんじゃないでしょうか?

それを混ぜる、繋ぎ直す。その営みをただ、繰り返し続ける。それによって

 

人と関わるっていいな!

ルールを守るっていいな!

 

ということを体験知していきます。

 

余談ですがゴリさんが言っている日本を三大芸能であるドッチボール、フルーツバスケット、ハンカチ落とし。この3つの遊びには

活躍できる人とできない人がいる。

待ち時間がある。

参加が強制される。抜けることもできない。

関わりが薄い。

などなど

 

待たされる時間が多くなればなるほど、子どもたちはふざけ始めます。なぜなら楽しくないから。

 

やりたくなるもの 自己決定理論

有能感、自立性、関係性

この3つが揃ったアクティビティを絶えず続ける。温め続けることが、まずはなんとなく集まった人たちを集団にするのです。

 

温めるにはアクティビティ以外でも、出来ていないことではなく、出来ていることに注目する。子どもの手持ちの能力を引き出す。それを「手持ちの能力の全面開花」というそうです。まぁ、たしかにマイナスのフィードバックで人の能力が上がれば、そんな楽なことはないですね。

 

気をつけなければいけないのは、子どもたちと距離が近くなればなるほど、温めることは難しくなる。この言葉はすこし考えていかなければいけないです。

 

とはいえ、授業をしなければ

 

我々はこのアクティビティやらゲームやらをやり続けるわけにはいけません。授業もしなければいけない。では、授業の中でコミュニケーションを増やすにはどうすればいいのか?

 

そんな時に魔法の道具

 

ミニホワイトボードを利用することです。ホワイトボードの良いところは

・意見が可視化される

・意見が言いやすい(書きやすい)

・待ち時間が生まれにくい(場を冷やしにくい)

 

などなど。この特性使って授業にコミュニケーションを増やしていきます。挙手ではなく、ホワイトボードに書く。それを交流する、ということを行います。

 

例として口に2画出すゲームをしました。個人で考え、ペア、グループ、全体と増やしていき、自分の答えを増やしていきます。どんどん自分の活動があるので待ち時間なんてものはありませんし、コミュニケーションもたくさん生まれます。

これを一斉でやったら……待つ子どもが増えるのは簡単に想像できますね。

 

授業でも日常でコミュニケーションをガンガン増やしていく。そしてある時、質の深いコミュニケーションが増えていく。つまり量が質に転換して行くのです。その辺りから深いコミュニケーションをこちらから仕掛けて行きます。

 

深いコミュニケーションとは

 

深いコミュニケーションはオープンクエスチョンを使って行っていきます。オープンクエスチョンとははい・いいえや数量で答えられないものです。その中でもさらに絞り8つを提示していただきました。

1というと?

2どんな感じ?

3もう少し詳しく教えてください

4例えば?

5具体的ならどんな感じ?

6どんなイメージ?

7エピソードを教えてください

8ほかには?

 

これらを使いながらエピソードを聞き出す。うまく聞き出せたら、そのエピソードが映像で浮かぶはずです。浮かばなければ魔法の言葉「ほかには?」

 

これ、最初はぎくしゃくして、話しにくいし聞きにくいんです。で、ついつい違う質問をしてしまう……でもそれは話し手の話したいことではなくて、聞き手が聞きたいことを聞いてしまっている。これは教師の日常もそうです。オープンクエスチョンをつかって子どものケンカの仲裁の例を見せていただきましたが、あんなに丁寧に聞けてないなぁ、反省。

 

ただ、これはスキルなので練習すればするほどうまくなる。とくに話し手側。最初は一文だったのに勝手にペラペラ話すようになる。そうすると質問もしやすいですね。

 

お互いオープンクエスチョンを使っているときにゴリさんが会場を回って動画を撮っておられて、そのあと見せていただきました。

だれも動画やゴリさんに気づかず、真剣に話し続ける。そんな映像が流れました。そんなときに一言

 

「こんなクラスにしたかないですか?」

 

ぼくは力強くうなずきました。コミュニケーションの量が質に変わっている瞬間は教師なんて目に入らず、眼の前に没頭する。こんな子どもたちを育てたいと思いました。

 

ふりかえることの大切さ

 

最近、ぼくの周りではふりかえりに関する話題がよく上がる。前のエデュシークなんかもその話題があった。だからこそこの話はすごく解像度が高く理解できた。

 

ゴリさん曰くふりかえりとは「自分の行動の前提を問い直し、進んでいくため」と言っておられた。

 

経験から学び、自身を批判し、考えながら変化し、より良く行うため。

 

つまり自分の当たり前を疑って成長していく

 

でも、ふりかえりは難しい!!

なぜなら痛みが伴う。そしてふりかえっても自分の前提に気づくのは難しい。

 

しかし、ふりかえりはしていくべき。なぜなら「在り方」を磨くため。

 

さまざまな実践を導入して、どれだけいい「やり方」があったとしても、自分の「在り方」が磨かれていなければ、それは張子の虎。実践が失敗したり、パッチワーク化するのはこの「在り方」が磨かれていないのも原因なんだろうなぁ、とか考えていました。

 

ふりかえりの仕方

 

氷山モデルを使って、ふりかえりの階層を教えていただきました。行動、思考、感情、望みの4つがあり、表出するのは行動だけ。だからその行動から感情や望みをふりかえらないといけない。

f:id:kaidan-stairs:20200115095458j:image

こんな感じです。

 

もう一つふりかえりの仕方でALACTモデルの提示していただきました。

f:id:kaidan-stairs:20200115095558j:image

 

ぼくたち教師は、問題があったときに振り返るとすぐに、行動の選択を行なってしまいます。そうではなく、まずその起こった背景を別の視点から見ることが大切です。ぼくたちでいうなら子供側から。

ゴリさんはいくつかの例を挙げて説明してくださいました。

 

砂遊びをやめない子がいる→じゃあ、こうしてみよう

 

ではなく

 

砂遊びをやめない子がいる→なぜやめないのか?子どもはどう願っているのか?→まだ満足していない?→授業での活動の時間が短かった?→じゃあ、次は導入を短く

 

みたいな感じです。背景を考え、本質を理解してから行動を選択するのが良い、ということです。

 

ふりかえりには伴走者を

 

とはいえ、やはり続かない。その中でゴリさんからの提案は伴走者をつけること。みんなの教室でいう中川綾さん。

 

今でいうなら隣のクラスの先生かなー。4月からなら異動してきた先生で頼めそうな人がいた頼んだみたい……

 

共同修正の概念

 

最後にゴリさんが教室の真ん中におきたい概念として共同修正について語ってくれました。

 

共同修正とはそのコミュニティのメンバーでより良くし続けるプロセス。つまり学習者とともに作っていく、そして子供からフィードバックをもらうということ。

 

これってつまりゴリさんが最初にいった21世紀型学級経営、民主的なコミュニティなんだろうなぁって思いました。今日したリフォームなんかはモロにこれ。

わからない、こまった、助けてが言える雰囲気を作っていくこと。うちのクラスはまだまだだなぁ……

 

子どものやりたいを尊重する。そしてそれを試行錯誤できる場や技術を伝えること。ホワイトボードを使ってやるお悩み相談などを教えていただきました。

 

最期には参加者だけで、お悩み相談をして会を終わりました。

 

このときにはもうゴリさんは必要なくて(失礼な意味ではないですよ!)、自分たちで少しですが自走することができました。

 

これがゴリさんの1年間なんだ!っていう感覚が、身体の中から湧き上がってきました。すっごい鳥肌。

 

最後に

 

この会を倒して学んだことをいくつか書いて終わりにします。

 

一つ目

ぼくの行った目的はゴリさんの位置を知り、自分との相対的な距離や方向を知ることでした。自分なりにゴリさんの真似をしてうまくいったこと、いかなかったことがありますが、「進む方向は間違ってないんだ」ということを大きく感じ取れる一日でした。本当に行って良かったです。

 

二つ目

丁寧さが大切であるということ。ついつい飛び道具的な実戦、派手な実践に目が行きがちですが、そうじゃなくて、なぜ、それをするのか、どのようにするのか、そしてどうやって続けて行くのか。この辺りを丁寧に丁寧にしていかなければいけないと思った。畳を置いてもクラスは良くならない。ホワイトボードを渡しても対話的にはならない。大切なのは丁寧にクラスに落とし込んでいくこと。

 

三つ目

学び続けることの大切さ。教育って答えのない問いにぶつかり続けると思うんです。良い教育って?これから子どもにつける力は?挙げ出したらキリがありません。その問いに対して、自分なりに答えを持っておくこと。そして、それを言語化できるようにすること。これがゴリさんはすごかったです。とくに言語化の方はすごい解像度でした。当たり前だけど自分とでは見えている世界が違うんだ、と実感しました。そのためにはやはり学び続けること、これはこれからも頑張っていかないといけません。

 

8時間ほどの長丁場でしたが、一瞬に感じました。それくらい濃度の濃い学びでした。ゴリさんはこれから風越のほうに集中されるそうですが、いつか、また話を聞きたいなぁ……

もちろん風越にも行ってみたい。そのためには今日学んだことを生かし続ける。それしかありません!さぁ、頑張るぞ!!

 

改めてゴリさん、素敵な学びの会をありがとうございました!!